ほーりー

傷だらけの栄光のほーりーのレビュー・感想・評価

傷だらけの栄光(1956年製作の映画)
3.7
【俺は空の上の誰かから好かれてる】

ポール・ニューマンの出世作となった『傷だらけの栄光』。元々はジェームズ・ディーンがキャスティングされたものの、例の事故死によってニューマンに白羽の矢が立ったという。

ただもしディーンが予定どおり演じていたら、ニューマンに比べてちょいと繊細すぎるキャラクターになったんではないかと思う。そう考えるとニューマンの方が適役だった気がする。

モンゴメリー・クリフト、マーロン・ブランド、ディーン、ニューマンの系譜のなかでも、唯一、陽の要素があったのがニューマンだったと思う。

本作はボクシング世界チャンピオンだったロッキー・グラジアノの半生を描いた作品で、が元不良のグラジアノが世界チャンピオンになるまでの道のりを小気味良いカッティングによって語られる。

この辺りの編集の巧さは、のちのスコセッシの『レイジング・ブル』に近いと感じた。なお監督は『罠』で既にボクシング映画の傑作を手掛けたロバート・ワイズ。

クライマックスは世界チャンピオンとのタイトルマッチ。実況中継するラジオにかじりついて聞いてる、彼の妻、両親、昔の悪仲間、知人、刑務所時代の教官の姿が映し出される。

原題の "Somebody Up There Likes Me" はラストにロッキーがつぶやくセリフであるが、これは神様のことなんだろうけど、やっぱり彼を今まで支えてきた家族・友人を指しているように思えてならない。

ちなみに無名時代のスティーブ・マックイーンがチョイ役で出ており、尖った演技をしているせいか結構わかりやすい。1963年の日本リバイバル公開では、ちゃっかりポスターにスティーブ・マックイーン共演とかでかでかと書いてあったとか……。

■映画 DATA==========================
監督:ロバート・ワイズ
脚本:アーネスト・レーマン
製作:チャールズ・シュニー
音楽:ブロニスラウ・ケイパー
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
公開:1956年7月3日(米)/1956年12月15日(日)  
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