くもすけ

傷だらけの栄光のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

傷だらけの栄光(1956年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

■ミドル級チャンピオン
アマチュア大会で好成績を残しながら兵役を逃れた罪で再び収監されたロッキー。すぐに小競り合いに巻き込まれ、切れのいい動きが軍のボクシングチームのスカウトの目に止まる。素性を看守に尋ねると、

「掃き溜め生まれで名前はロッキー・バルベラ。グラツィアーノの名前でリングに立ち成績は6試合6KO、右はいいが左はだめ。懲役1年ですが、いま2週間の独房が追加されました」

ロッキーは1922年マンハッタンイーストビレッジの生まれでイタリア系。映画だと妹がいるが10人兄弟。アマチュア大会で優勝後窃盗で矯正施設に入れられ同い年の幼なじみラモッタとは3週間一緒に労役についてる。
ミドル級チャンピオントニー・ゼールとは1946年から毎年計3度マッチを組んでいる。映画は唯一勝利した47年の試合がクライマックスで、セリフに含みがある。
目元が切れてカットマンが忙しく働いているが、演じているアル・シルヴァーニはロッキーシリーズでもカットマンやってるらしい

■イーストサイド物語
ロッキーの自伝に基づく脚本書いたのはアーネスト・レーマン。このあと「ウェストサイド物語」「サウンドオブミュージック」でワイズと組む。「ウェストサイド」のローレンツの原案は、もとはイーストサイドのユダヤ系とポーランド系の対立の話だったらしく、レーマンもユダヤ系。

本作でもいろんな人種を対立させる。
冒頭幼いロッキーがショウケースを割って逃げるところで、警官が吐き捨てる「またぞろグリーザーボールが逃げ回る。10年後にゃシンシン刑務所でくたばってるだろうよ」
その10年後、ナイフ使いの若きマックイーンらと喧嘩している場所はポーランド人テリトリの屋上。
ソーダ屋(カッツデリ?)に迷い込んだ未来の妻を家まで送り届ける際わざわざセリフでユダヤ系だと説明する。

不名誉除隊が当時どれほどの罪になるのかわからないが、ロッキーは地元を巡り歩いてどうしたものか迷う。
質問こそしないが説教臭いソーダ屋、花屋フロント計画をもちかけるサル・ミネオ、初めて殴らなくてもいい人を見つけて潰れた親父。ロッキーは腹を決め、試合の様子を伝えるラジオに街中が耳を澄ませる。

外でいっぱい撮っているのをみると、やろうと思えばスピルバーグ版「ウェストサイド」の画面も出来たのかな、と思ったりして