葉問が「人を育てる」人間になったのがこの映画のいちばんの見所かもしれない。
弟子をとることを拒み、それでも戦争が始まると自衛のための武器として自分の持っている能力を他者に教えたのが1作目。
2作目は、本当の意味で「師匠」になったのだ。
葉問が武館を開くと、レオンという青年が勝負を挑みにやってきて、その後一番弟子として葉問に教えを乞うことになる。
若さゆえに強さに固執し、後先考えずに行動するレオンの存在によって、弟子を育てることで葉問自身も師匠として成長していくのだろうなと感じさせられる。
サモ・ハン・キンポー演じるホン師父の意志を継いで英国人ボクサーと勝負するクライマックスシーンでは、普段は穏やかな葉問の中に燃え上がる「怒り」の表現が絶妙で、やはりドニー・イェンはこういう演技が上手すぎるな……と思うなど。
「イップ・マン」シリーズは、基本的に善悪がハッキリしているのと、3作目をのぞいて「中国人のアイデンティティを脅かす集団」が敵なのが特徴的だなあと感じる。
勧善懲悪モノとしては、これがいちばん分かりやすい構図ではあるのだが。