かりっと焼いた林檎と柑橘系果物

獣人雪男のかりっと焼いた林檎と柑橘系果物のレビュー・感想・評価

獣人雪男(1955年製作の映画)
3.2
ゴジラのスタッフが製作した
現在では封印作品とされている作品。

DVDなどでは一切発売されていない様ですが劇場公開はされているらしく、
池袋の新文芸坐にて鑑賞。

今作の雪男は
巨大なゴジラやキングコングとは異なり
人間より少し大きいくらいのサイズで雪山の奥地に潜んでいるという設定。

お話はとある大学山岳部がスキーを楽しんでる時、恐ろしい出来事にあい
事件後に新聞記者が取材し事件が語られていくというもの。


鑑賞中にかなり気になったのが
音声や映像がぶつ切りになる様な粗い編集…。
古い作品なので元フィルムが劣化しているのかもしれませんが、この作品の前年に製作されたゴジラではここまで目立つ粗は感じませんでした。
雪男が人間を放り投げるシーンでは
合成が使われていますがあまり効果的には思えません。

また、お話もかなり単調で
登場人物の発言や行動にもよくわからない点が目立ちます。
仲間が亡くなったというのに割と平然としてる山岳部メンバーには驚かされます笑。


肝心の雪男の恐怖を煽る描写は見事で
山の中という閉ざされた中から突然襲い来るのは中々怖いです。
雪男の怒りに満ちた表情はその演出に一役買っていると思います。

また、元は凶暴な生物ではなく
遭難した人間を助け食べ物を与えたりと意外にも優しく小さな子どもの雪男まで居るという愛らしい存在でもありました。

雪男と言いつつ
雪原で雪男の現れるシーンはほぼ皆無で
ほとんどは洞窟や森の中で展開されるので
雪男という名前にもやや違和感を感じます。

封印作品にされた理由が
障害のある人が沢山映って差別的であるということですが
役者さんの演技がかなり生々しく
演出の為だけと感じます。

部落の人の
訛りが多く何を言ってるのかが分かりにくいのが私的には気になりました。
山奥の部落なら訛りが多いのは当然とはいえ、謎を解いていくストーリーにしては不親切な部分が多いように感じます。

俳優陣の演技や雪男の造形と特撮等
見どころは沢山ありますが、単調でややお粗末な部分が目立ちお世辞にも楽しめる作品とは言い難い
ゴジラやキングコングの偉大さを再認識させてくれる非常に惜しい作品でした。