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獣人雪男のbackpackerのレビュー・感想・評価

獣人雪男(1955年製作の映画)
4.0
【作品情報】
公開日  :1955年8月14日
作品時間 :95分
撮影   :スタンダード(モノクロ)
監督   :本多猪四郎
製作   :田中友幸
原作   :香山滋
脚本   :村田武雄
音楽   :佐藤勝
特殊技術 :円谷英二、渡辺明(特美)
出演   :宝田明、河内桃子、根岸明美、堺左千夫、山本廉、谷晃、瀬良明、高堂国典、小杉義男、中村伸郎、ほか

【作品概要】
1954年『ゴジラ』の大ヒットから、現代まで続く東宝特撮映画。その黎明期に制作された、『ゴジラ』スタッフ勢揃いの東宝特撮の第四作目。
後の『大怪獣バラン』や『モスラ』へと継承されるテーマ性を内包した本作では、「土着の神秘とそれを侵す俗世間の人間」という、文明への批判的態度が明確に見て取れる。

VHS・DVD・Blu-ray・配信等では公開されておらず、現在のところ、鑑賞方法は劇場での上映のみとなっている。
これは、獣人を"山の主"と崇拝する山村の部落住民の描写において、「肌や手脚といった身体に異常をきたした姿をしていた=近親交配による遺伝異常が起きている」と表現したためと考えられる。

【作品感想】
所謂"封印作品"として、一般的には見る機会の少ない本作。
劇場公開は禁止されていないため、どこかの名画座で公開されるタイミングを見逃さず、駆けつけるしかないというのは、本当に難儀なものです。
今回は、ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショー企画2023年第一弾『初春空想科学映画祭』の2番目として上映されていましたので、仕事終わりに突撃してきました!
スクリーンは案の定満席!!ラピュタ阿佐ヶ谷には数は来ておりませんが、ここのスクリーンが満席になったのは、初めての経験です。

映画職人・映画作家の本多猪四郎監督が『ゴジラ』に続いて撮りあげた本作では、宝田明と河内桃子が再び主演!
獣人をストップモーションアニメで撮っているシーンがあったり、雪山のドドンとデカいマットペインティングがあったりと、特撮についても申し分なし。流石特殊技術に円谷英二が入っているだけあります。
他にも、本多猪四郎の弟子時代の岡本喜八が監督助手に入っていたりと、色々驚かされることばかりでした。

絶滅寸前(仲間たちはベニテングダケを食べて全滅。残されたのは雪男とその子どものみ)に追い込まれた獣人雪男に迫る、悪辣興行師の魔の手。孤独と哀切のドラマに走る怒りの濁流。
放っておいてくれれば、こんなことにはならなかったのに。人の欲がもたらす悲劇ってものは、度し難いですね……。
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