イチロヲ

獣人雪男のイチロヲのレビュー・感想・評価

獣人雪男(1955年製作の映画)
4.0
厳寒の日本アルプスを訪れた山岳部員(宝田明&河内桃子)が、部落の娘(根岸明美)との交流を通して、獣人の存在意義を考えあぐねる。絶滅危惧種の悲哀と反抗を描いている、円谷プロ謹製の特撮ホラー。原作者は「ゴジラ」のシナリオライター、香山滋。

いわゆる「都会人と未開人、本当に醜いのはどちらか?」を問題提起するパターン。雪男とウィンウィンの関係を築いている部落に、傲岸不遜な都会人たちが闖入。長らく保持されていた不文律が破壊されてしまう。

特殊効果を必要最低限に抑えながら、禍々しい空気感だけを拵えているところが素晴らしい。ハマー・フィルムをブラッシュアップさせたような雰囲気に満ち足りており、モノクロ映像の恩恵を受けることができる。

本作は「ゴジラ」のスタッフ&キャストが携わっている意欲作なのだが、本編内の部落描写がアウトとなり、いまだにソフト化未定のまま(筆者はVHSの裏ビデオで初鑑賞している)。差別的要素を過度に汲み取ること自体が、「差別そのもの」だと思うのだが。
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