フォスフォ

チンピラのフォスフォのレビュー・感想・評価

チンピラ(1996年製作の映画)
3.8
間違いなく良い映画だとおもうんだけど、ちょうど同年で似たモチーフと寺島進もでてるキッズ・リターンとどうしても比べてしまう。我が胸に~の終盤の屋上に車乗せての肉弾戦が、こっちだと固定ショット長回しで凄惨かつ静かに大沢たかおと寺島進がやりあうことでかなりグレードアップしてて、初期からゆっくり追いかけてるこっちもうおー!となった。

東京の話が6、7割くらいなのに電車がでてくるのは警笛の音と、そしてフレームインするのが一回のみ。代わりにでてくるのはやっぱり車なんだが、カットと時系列飛ばして場所を切り替えちゃうから(しかもラストは長回しで回想との時系列同時並存という実験もやっており、たぶんこれが次の時系列混淆のwild lifeに繋がる)、移動として機能はせず、暴力が依りあつまる不思議な磁場を形成する。ここら辺が青山真治の独特なとこだとおもった。

寺島進と車の横で殴りあった後にカット変わってズバーンとシンボリックに青年期を表すふらふらしたチャリを俯瞰で撮ったり(以降はダンカンと2ケツしたりと度々でてくる)、浜辺に不吉な青い車が座礁した魚みたいに停まっていたり、乗り物が乗り物としてではなく象徴的に配置されている。バーの階段上がってった先で初めて画面に全員映るヤクザたちが、さいごは事務所の階段を降りてったところを大沢たかおに撃たれて皆殺しにされたりするとこも良かった。拳銃を撃つ→カットが切り替わって花火の火玉、風見鶏に。海が何度もでてくるのがよくわからず、最初と最後にちょろっとだすくらいのが按配いいんじゃないかと思ったけど、終盤のダンカンが死んじゃう一連の流れは好き。
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