東京アリス

テンの東京アリスのネタバレレビュー・内容・結末

テン(1979年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【共感できる人にも「あっそ」と言われがちな「ミドルエイジクライシス」の最終回答を提示する大人コメディ】

中年男性が陥り、そしてちょっと偉そうに見える「ミドルエイジクライシス」。
暗く気怠く、贅沢病にもみえるので、他人からは映画になると「あっそ」と言われてしまうテーマだと思う。
ウッディ・アレンより大人っぽいトーンのコメディで、主人公ジョンのずっこけっぷりが半端じゃなくて面白い。

そしてラスト、自分が今もっている幸せに気付く。
「満足」って、いつでも確実な幸せへの一歩なのね。
(いざという時にこれを「妥協」しない為には、人生を大事に積み重ねるってことなのかなぁ)

ジョンが、ジェニファーは自分の相手じゃないってことがわかるベットシーンがよかった。
ラブロマンスとしては不完全燃焼だけど、彼女に求めてたものが性欲じゃないのがわかった。
若さに触れている間は、自分もその恩恵にあずかれるような気がして、のぼせていたい…。
でも大人な理性をもつ自分としては、ジェニファーの自分とはズレた感覚が許せなかった…、夢の時間は終わり。

にしても、やっぱり中年おじさんの心の隙を埋めるのって若い女性以外にないのかな?
中年のおばさんが、ここまで期待をもって若い男にのぼせ上がりにくいし、かといってロマンスの対象にもなれないし、ほんとうにミドルエイジで泣きたいのは女性なんじゃないの?という気もする。

でもやっぱり、普遍的中年男性の思いをおもしろく描ききっていて名作だと思う。
(向かいのイカレスケベパーティの主も同世代だったしね)
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