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お母さんのつうしんぼのmingoのレビュー・感想・評価

お母さんのつうしんぼ(1980年製作の映画)
4.1
「どんなもんだいなんだかんだいシュラシュシュシュラシュ〜」先生のつうしんぼよりつうしんぼらしさは皆無だし八王子商店街を蚕の糸を伸ばして歩き回るのような奇天烈な演出は無いにせよドラマ性が強化されお母さん讃歌として、また食物連鎖ムービーとしても大変素晴らしい。特にラストメダカに類似しているがボウフラや有害な微生物を食べてくれるタガヤシの産卵からカットが切り替わり、体育館の出入り口から一人一人飛び出してくる生徒たちを交互に2.3カット続ける一連のラストシーン、今年観た映画で一番凄い。
部屋の中には竹宮惠子「地球へ」のポスターとドカベン、スグシメルと記載された冷蔵庫。親友みさちゃんに誘われて宮下順子お手製のババロア食べてハッピーかと思えばオセロで圧倒的大敗にグリングリンのピアノ演奏、母子家庭を突き落とす演出で茫然自失の夕子、部屋にはピエロの人形2つにピエロの絵でピエロ関係のモノ3つ急な不穏さ。弟広士の世界に一つだけの下駄ローラースケートをクラスのボス猿兼食いしん坊吉田にぶっ壊され激怒する夕子。引き続き吉田にロックオンされた田舎の転校生黒川は弄りと嫉妬に耐えながらも生き物採りで夕子と仲良くなり逆上がりの練習でお尻を無意識ワンタッチ、吉田の怒りをさらに買い落とし穴に落とされそうになるもハチに刺された吉田にオシッコの力で直そうとする田舎っぺらしい無意識下の反撃、平和すぎるリベンジに演出の妙を知る。そして授業参観で大関松三郎「虫けら」の詩を朗読しつまらないと騒ぎ出す生徒たちをスズムシや蛙の鳴き声で少年少女の心を鷲掴む黒川の父ちゃん前田吟も忘れちゃいけない。撮影は前田米造に助監督黒沢直輔。天才たち結集、最強感やばい。担任役の三谷昇、無理がある。
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