吉太郎

マディソン郡の橋の吉太郎のレビュー・感想・評価

マディソン郡の橋(1995年製作の映画)
3.8
最後の車のシーンはどうしても泣ける。すごく人間的で、かつ、ロバートが言う通り、人生において一度も感じる事なく終わる人もいる、切り裂く気持ちだよね。あの形容し難い感情を没入感満載で撮れているのが本当に見事。人生を誰と終えるかとはまた別に、ひそかに一生想い続ける人がいるかいないか、日常で綺麗な風景を眺めるときに思い浮かべる人がいるかいないかという違いは確かに大きい。ただ、『ひそかに』というのが非常に重要。

これがよかったよなぁ。たった一週間。寝てたら過ぎる時間。仮にそれが本物だったとしても、人生には全てタイミングがあり、ほとんどの人がそうしているのよね。違うタイミングで現れたものは、どんなものであれ結論はただの夢。結婚とはそういう覚悟も含めたものであり、恋とか情熱とは別物。
ロバートは夢であり、それはいずれ覚める。現実ではなく、生活でもない。結婚10年目とかに自分がなったらもっと感じ方は変わるかもしれないけど、手放したからこそ美しく見えるものは絶対あり、ロバートとの先10年に保証はなかったと思う。

結論、『暮らし』を選べて本当に良かった。リチャードは素敵。フランチェスカを見る目、ラジオのボリュームを上げる仕草が強い愛だよ。リチャードは何となく知っていただろう。
ベッドのお薬のシーンで思う。ロバートとフランチェスカは、自分がどうか自分がどうなるかを考えていて、リチャードとフランチェスカは相手がどうか、相手が幸せかを考えたのではないかなぁ。よく言う愛と恋の違いかね。どんなにそれが美しく一生物の『恋』だとしてもどこまでいってもそれは恋だと思う。
こんなに美しい子供たちをどうして捨て得ようか。見るべきものを見たいと思う。
吉太郎

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