真世紀

首領(ドン)を殺(と)った男の真世紀のレビュー・感想・評価

3.4
公開当時、30年の歴史を持つ東映ヤクザ映画の総決算、最後のヤクザ映画のふれこみだった一作。

松方弘樹演じる宝来は敵対組織の組長を殺害して自首し、懲役18年の刑に服する。獄中にいる間に弟分の大木戸(夏八木勲)は組織を拡大し、全国組織の会長におさまっていた。出所後、大木戸との兄弟分の杯を水に流し、堅気になろうとする宝来だが、大木戸は会おうとしない。獄中で知り合った若者(山口達也)を通じ、縁で屋台村を仕切る元ヤクザ(川谷拓三)や亡き父と重ねて宝来を慕うクラブ歌手(田村英里子)らと縁を結び、新たな人生を歩まんとする宝来だが。

さすがに路線最終作だけあって、菅原文太、山城新伍や志賀勝、野口貴史、成瀬正孝、大前均とこれまで東映ヤクザ映画を彩った顔が次々登場するのは嬉しい。若者代表の山口達也や田村英理子は東映ヤクザ映画に名を列ねていたかという点では意外なキャスト。

が、総決算というにはやはり、作品に力無く、東映ヤクザ映画の看板を延命させるには至らず。以後はヤクザ映画はVシネマにその流れを残し、松方弘樹もその流れに飛び込んでいく。
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