Kaoru

明日を夢見てのKaoruのレビュー・感想・評価

明日を夢見て(1995年製作の映画)
4.0
イタリア・シチリア島になるレアルチーザという田舎町から始まるお話。

小さい田舎町へ街宣車をけたたましく鳴らし派手に映画俳優オーディションを募る。参加費は1500リラ。

このオーディションというのが実は架空のものでスカウトマンを名乗る男は詐欺師。

でもこの映画の面白いところは、詐欺師の話が単なるサブストーリーでしかなく、メインはオーディションに来た町の人々がカメラの前だけは誰にもしゃべったことのない自分を語る。
自分の娘を女優にさせたくて監督に身体を売る母親だったり、覚えのない噂をたてられ隣人たちから疎ましく思われている少女。戦争で自分が戦った第五部隊が自分の全てだと語るおじいちゃん。7人の兄弟のうち4人が殺され味方が誰もいないと銃を向ける3人兄弟。こっそりオーディションに出させてくれと巨匠監督へメッセージを込める警察官などなど。
表面的にみればそんなドラマなんて分からないのにも関わらず、人にはそれぞれ生きてきた軌跡があって、人の数だけいろんなドラマがある。

これをつなげた物語になっており、これこそが映画の1番のストーリーになっている。

トルナトーレ監督はシチリア出身といぅこともあり、彼が描くシチリア愛はとても深い。シチリアは綺麗なだけではなくて歴史的に見ても、喜怒哀楽も沢山詰まった島で、 悲しさや重く暗い部分を一切隠さないトルナトーレ監督の描き方がとてもステキだと思いました。
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