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桐島、部活やめるってよのmingのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
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最高とか凄いとか素敵とかそういう簡単な一言で表したくない程深くて落ち着かせてくれない映画でした。

私がこの映画を初めて見たのは中学1年生の頃で当時の感想は女子ってこうゆう難しいところあるよね〜と橋本愛ちゃんの美しすぎる!って感じだったと思う。高校生を経てみると全く別の作品になっていた。

まず、それぞれの会話の一瞬一瞬に高校生の眩しさと厭わしさが入り乱れていて、共感と虚しさで胸が苦しかった。女子4人組の会話はそれが特に顕著で圧巻でした。松岡茉優さんの演技えげつない。

高校生って離れて見ると輝いているのに実際になると全然そうじゃなくて。だけど高校生ってものに憧れがあるから人生に1度しかない特別な3年間を謳歌するためにはあらゆる選択肢を間違うわけにはいかない。部活に入るのか、何部に入るのか、誰と友達になるのか。自分の選択が正しいのか分からないまま不安ながらも憧れてた高校生活を満喫しているんだと思い込ませながら過ごしていく。

高校生って大人と子供の本当に中間で守られてはいるけど現実だって見えている。将来何をしたいのか、今の選択が繋がっていくことだって十分わかってる。
将来に繋がらない事をする意味が分からない、将来プロになるわけでもないのに部活本気でやって何になるのか。現実を見る人程そう思う。だけど心のどこかで部活をやっている今、目の前の青春を一生懸命過ごしている人達への羨ましさとその選択肢があったのにも関わらず選ばなかった自分への後悔がある。
野球部の先輩、映画部の人たち、一見ドラマや映画で描かれる理想の高校生活とはかけ離れているかもしれない。けどそれぞれの心の密度は満たされていて、逆にカーストの上にいる人達は一見青春を謳歌しているように見えて他人からの羨望の眼差しや評価のために自分のやりたい事が出来ないままで心は空虚なんだと思った。

高校生の恋愛なんて実際には少女漫画みたいにいかない。吹奏楽部の部長の様に漫画だったら登場人物にもなれない様な恋愛だってある。失恋したからといって「僕にしなよ」と慰めてくれるチャラい男の子だっていない。自分で踏ん切りをつけて前を向くしかない。

何度見ても見た分だけ新しい見え方が出てくるんだろうなと思った。
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