はやく高等遊民になりたい

桐島、部活やめるってよのはやく高等遊民になりたいのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
3.6
桐島というドーナツの穴のまわりの話。

このくらいの年頃は自他の境界や心の成熟がまだ安定しいなくて、人間関係が危ういバランスでできている。だからひとつ錘が無くなってしまうと、とたんに平衡が崩れてしまう。

最後の夕日が暮れていくシーンが良かった。
部活や恋愛に向かってるクラスメイトばかりの中でどっちもなあなあな宏樹は、野球部の先輩や前田みたいに、採算度外視で好きなものにエネルギーをぶつける人と自分を比べてしまう。
ナチュラルボーン映画バカこと前田が、ごく自然に「あっ逆光だよ!」て言って、全光からカメラを宏樹に向けると、宏樹は自分の空虚さが照らされたようになって耐えられない。
吹奏楽部の子も失恋のフラストレーションを部活で発散してスッキリ顔だったし、青春の名付けようの無いモヤモヤやエネルギーを解消する場所が無いのはしんどいよな。