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桐島、部活やめるってよのDYDのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
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田舎の高校を舞台に‘‘主人公’’桐島を中心にして物語が動いていく群像劇。

最初に断っておくと、本作はかなり荒削りな映画です。

校内ヒエラルキーの描き方も、なんというかありきたりすぎて品がない。過激に誇張すればまぁこうなるよね、という範囲で理解できるし、制作陣があえてわかりやすくしてるのもわかるが、リアリティには欠けると思う。

桐島いつ出てくるの?って展開も思わせぶりがすぎる。

ただ、なぜか邦画の中ではダントツで好きな作品なんですよねー。

神木隆之介演じる前田のクラス内での立ち位置がまず自分の青春時代にぶっ刺さってしまっているのがひとつ。
あとは東出くん(この頃の彼は儚くて美しかった)演じる菊池の表情、「ギリギリで耐えてる」危うさが圧倒的な画面の引きになってるのがふたつめ。それでいて、劇中での2人の絡ませ方が絶妙なのである。

特にラストシーンの2人の会話が泣けるほどよい。

映画好きのオタクが本人の意図しない形で彼らにカウンターパンチを喰らわす場面が本作の見せ場なのだけど、まさに監督(原作者は朝井リョウ)のコンプレックスが爆発してる。
でもさー、映画表現はこういうのでいいのよ。個人のフェティズムや歪んだ価値観がぶちまけられるのがとにかく気持ちがよい。映画っていいなぁ、極端な「好き」とか「こだわり」っていいよなぁと実感する。

桐島部活辞めるってよの魅力は誤解を恐れず言えば「不完全さ」なのだ。鑑賞後に気持ちが救われる気がするのは、不完全さが許されたと感じるからなのかもしれない。

雑メモ
前田の親友、武文が制服で雑に手を拭きながら「おまた〜」とトイレから教室にもどってくるシーンがシュールで好き。
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