青春多視点群像劇。
様々なスクールカーストを見てきたが、出色の出来栄え。
1人の中心人物を巡り、周囲の葛藤を丁寧に映す。
軽薄なお調子者、運動部をやめたイケメン、文化部の肩身の狭さ、大衆迎合的なギャル。
公開時に高校生だった自分にもドンピシャ!
キャスティングもピカイチ。
山本美月のギャル、清水くるみのスポーツ女子、大後寿々花の文化系女子、橋本愛の隠れ美少女それぞれの属性が会話の中でくっきりと浮かび上がってくる。
そしてスクールカーストを形作っているのは、これら女子たちが作るコミュニティがひとつ。
中心にいる女子に陰口を言われれば最後、放逐の日々が待っている。
反対に気に入れられれば、学校生活の安泰は約束される。
スポーツができる云々も所詮、選ばれるための手段に過ぎない。
だが、男子校や女子校では、あまり強烈なスクールカーストは発展しない。
部活ごとのヒエラルキーはあるが・・
その中で、青春映画がやってしまいがちな、上の世代が決めつけたような若者像が全く登場しない。
だが、具体的な地名や物事は登場せず、一貫して抽象的な視点で語られるため、誰でもノリやすい。
それぞれの思い出を各人物に投影して、映画に没入する。
神木くんよ!鉄男を観に行って、橋本愛が後ろの席にいたら、勝ち組だ!
奇跡的なまでに全ての要素がバチッとハマった素晴らしい脚本・映画だった。
これを観て、高校時代を思い出そうとしたが、ほとんど記憶にない。
自分はどうやって登校して上履きに履き替えて、教室に行っていたのだろう?
なぜか、職員室で担任に
「失望した、もういいよ」と突き放された記憶がリフレインしている。