カニゑモン

少年は残酷な弓を射るのカニゑモンのネタバレレビュー・内容・結末

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

回想が多い故に、すぐオチが読めてしまう。でもそれを見据えたうえで、自分が母親の立場なら、ケヴィンとどう向き合うのか?と思い巡らせながら観ることができる。


望まなかったとは言え、お腹を痛めて産んだ初めての子供。母親としての在り方に苦悩するなか、子供は端正な美少年に成長しその反面自分にだけ純度の高い憎悪(もしくは極端に捻くれた愛情)を向けるようになる。
子供を育てることがどれだけ困難を強いられることか、一般的な視点からは違う角度から見ているような感覚。


開放的で小綺麗な家、冴えない職場、小太りで温厚な夫、いやらしいほどの赤い差し色、眩しいスーパーの店内、陽気なサントラ、全ての鬱がエヴァ役ティルダの表情に反映され、やつれきった顔が救いようのない将来を思わせる。常に痩せこけている印象だが、それが一番引き立っているのがこれなのでは?


地獄に落ちかけて精神崩壊ギリギリの状態で、もしかしてまだやり直せるかも。。。と一欠片の救いを残して幕は閉じる。
母親視点なので、出所したらどうなることやら、こちらは気が気じゃない。絶妙な空気感で終わるのが良い。


その他
爪+卵の殻のシーンと、日本音楽ぽい車内BGM、面会後にすれ違う黒人が抑えられるシーンが気になった。