おかだ

少年は残酷な弓を射るのおかだのレビュー・感想・評価

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)
3.9

この作品は、妊娠を機にキャリアを捨てざるを得なかった母の視点で描かれている。
だからこそ、周りを取り巻く環境や人々の視点を想像し、様々なものを感じ取ることが大事だと思う。

さて、僕の好きな言葉に
“There are three sides to every story: Yours, Mines, and the truth.”というものがある。
この「あなた」「私」「真実」という3つの視点から物語をとらえてみる。
子を持つことへの責任を甘く見ていた母、自らは子に好かれているからと楽観的な父、反抗的な息子など
この物語で、誰が悪いのか、どうするべきだったのかの答えを見つけることは容易ではないと思う。
真実という絶対的な要素を取り巻く、それぞれの不安定で主観的な視点を想像することでこの映画の本当の深みを感じることができると思う。

演出面において
冷たさや異常さを表すシーンが多くある。
ペンキやトマト祭りなどの赤色を用いたメタファーはもちろん、食べ物のカットでも独特の雰囲気を醸し出していて思わず見入ってしまう。
一方で、音楽の使い方は苦手だった。
視覚的に特徴が多い分、サウンドはもう少し落ち着かせても良かったと思う。


中学生のころ原作を読んで衝撃を受けた思い出の作品だが
映画版もよく出来てると思う。
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