T0T

夜の鼓のT0Tのレビュー・感想・評価

夜の鼓(1958年製作の映画)
-
2023.7.17 34-110

顔のショットの切り返し。彼・彼女たちは、自身のうちを知られぬように顔を背ける。日常を、関係を守るべく向き合わないようにする。ただ、日常・関係を破壊する何かが噂として流れ、あるいは破壊するような感情が突如作用する。それは因果的なものではなく、突発的に現れる。それは、場面から場面への突然の切り返しのようなものである。会話を交わすことで疑いは晴れたはずなのに、その次の馬に乗る男の顔のショットでは、怪訝な表情、まだ疑いは晴れていない表情が映し出される。どこが、映画、出来事の終わりか。それは一向に来ない。最後の死体を見つめる三國蓮太郎の表情は、そのことを暗示している。突如出来事は襲いかかり、日常的な空間の中に漂いつつそれを破壊する。そして出来事に蹴りをつけたように思えた後も、痕跡として止まり続ける。

切腹のシーンは、良かった。女の人の切腹初めて観た。
T0T

T0T