ゆみモン

夜の鼓のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

夜の鼓(1958年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1958年作品
原作:近松門左衛門
   『堀川波の鼓』
脚本:橋本忍、新藤兼人
監督:今井正

鳥取藩御納戸役小倉彦九郎(三國連太郎)は、主君と共に参勤交代で在京すること1年2カ月の後、懐しの国許へ。彦九郎は一刻も早く家で待っている愛妻のお種(有馬稲子)のもとへと心をはやらせた。帰国してしばらくたつと、彦九郎は何か周囲の変な様子に感づく。
種と鼓師宮地源右衛門(森雅之)の不義密通が、家中に知れわたっているのだった。
はじめは否定していたお種だったが、問い詰めると彼女はようやく真相を語り始めた。刃物を持った磯部(金子信雄)に関係を迫られたお種は、その場を助けてくれた彦九郎と酒の勢いで関係を持ってしまったのだった。
お種は自害しようとするが、果たせず彦九郎が斬り付ける。
その後、彦九郎、息子、きょうだいらで、京都の源右衛門に仇討ちを果たす。


現在と過去の回想を交錯させる手法は、当時としては新しかったのだろうか。
源右衛門を演じた森雅之のいやらしさが、堂に入っている。
若い三國連太郎は、朴訥とした武士の感じがよく出ている。
しかし、何と言ってもお種を演じた有馬稲子が圧巻だ。眉剃り、お歯黒でも輝く美しさ、貞淑な妻でありながら溢れる色気…。
この有馬稲子を見られただけでも、この作品の価値はあると思う。
なぜ、最近の時代劇では、既婚女性のお歯黒など、時代考証を正確に再現しないのだろう。