一人旅

ブルー・イン・ザ・フェイスの一人旅のレビュー・感想・評価

3.0
ポール・オースター&ウェイン・ワン監督作。

名作『スモーク』(1995)と同年に撮られた番外編で、NYのタバコ屋に集う人々の日常を描いた群像喜劇です。

『スモーク』の舞台となったNY・ブルックリンの街角にある一軒のタバコ屋を舞台に、ハーヴェイ・カイテル扮するタバコ屋の雇われ店長とそこに集う個性的な常連客が織りなす日常の風景をユーモラスに綴った群像劇となっています。

一本筋の物語は存在せず、タバコ屋に集う人々の短い会話を繋げて集めたような即興的作風が魅力の群像コメディで、地元のたまり場と化したタバコ屋を中心に多岐にわたる話題に興じる人々の日常を見つめます。煙草の話や映画の話、環境問題、ブルックリンの人種構成の話、宗教と信仰の話、LA移転前のドジャースの思い出話、常連客の色恋沙汰、貧困少年の窃盗騒動…と相互に無関係な小話&騒動が取り留めもなく描写される正真正銘の日常映画で、NYの下町“ブルックリン”を様々な視点から見つめた偏愛映画でもあります。

『スモーク』に続きハーヴェイ・カイテルがタバコ屋の店長を雰囲気たっぷりに好演しているほか、ルー・リード、ジャンカルロ・エスポジート、マイケル・J・フォックス、キース・デイヴィッド、リリー・トムリン、ジム・ジャームッシュ、ヴィクター・アルゴ、ロザンヌ・バー、ジャレッド・ハリス、ミラ・ソルヴィノ、マドンナらがブルックリンの個性豊かな仲間たちを演じています。
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