湯っ子

ノーボーイズ,ノークライの湯っ子のレビュー・感想・評価

ノーボーイズ,ノークライ(2009年製作の映画)
4.0
日韓合作。妻夫木君とハ・ジョンウ、それに渡辺あや脚本のブロマンスとな!と、ときめきを期待して観たらどっこい、なかなかにヘビーな題材だった。
「家族」を背負い、縛られ、拠り所に生きる亨(妻夫木)と、「家族」に捨てられ、憧れ、拠り所を求めるヒョング(ハ・ジョンウ)。殺し合いくらいの勢いでの殴り合いは、魂のぶつかり合いでもある。ラストシーンでのヒョングの独白からしても、ふたりの間にあるものは、性自認とはまた別の、紛れもない愛情なのだと感じた。
ここのところ、私の中で「恋愛」と「友愛」の違いを定義づけるものがはっきりしてきた。「恋愛」がお互いを見つめ合う正対するつながりであるのに対し、「友愛」は同じ方向を見つめている横のつながりであるのだと思っている。それは夫婦、恋人、友人の中にどちらも存在するとも。
本作のふたりが向かい合う場面、並んでいる場面を思い起こしてみると、このふたりにも「恋愛」的なつながりも、「友愛」的なつながりも両方あることを感じる。あの素晴らしいカラオケ大会のシーンはステージ上で同じく客席を見たり、たまにお互い目を合わせたり。「アジアの純真」で泣くなんて思わなかった。たくさん心抉られた。アラはたくさんあるだろうけど、良い映画だと思う。
湯っ子

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