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ローマの休日のRyoSのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.7
オードリー・ヘプバーンがかわいいことは言うまでもないが、それだけじゃないところがこれを名作にしているのだろう。まず、王女が城を抜け出して市内観光するという設定自体がこの映画全体を通して緊張感をもたらしている。王女が抜け出すシーン、グレゴリー・ペックに、自分が助けた女性が王女と分かった瞬間、「逃げられたらまずい」という考えが働くことなど、サスペンスな要素も多い。また、真実の口に手を入れるシーンや、グレゴリー・ペックがスイカを買ったり王女がギターで衛兵の頭を殴ったりと、コメディ要素も多く、ただのラブストーリーではなかった。そしてこのような様々な要素を包んでいるのが舞台設定であり、いつかは帰らねばならない、そう長くは一緒にいられないことをお互いに分かっていながら遊ぶ切なさもたまらない。お互いに化かし合い、とても不安定でもろい土台の上に成り立つ恋である。

この当時、オードリー・ヘプバーンはまだ無名であることも驚きであり、ウィリアム・ワイラーが、オードリーの、あまり映画慣れしてなく、そのやや緊張気味な雰囲気をうまく出して使っているもいい。
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