戦後の作品なので、めちゃくちゃ古いというわけではないのだけれど、
映画にとっての古き良き時代を思わせる作品です。
ヨーロッパの王女が、公務に嫌気が差して、ローマの街に抜け出して、
たまたま通りすがった新聞記者と、たった一日だけのデート&恋愛もどきをするという
今日的には、娯楽として成立させることはちょっと難しいと思うくらいに
シンプルなストーリーです。
当時は大衆に向けた種々の情報が、
現代とは比べものにならないくらい少なかったでしょうから、
異国情緒溢れる古都ローマでのロケを行ったことだけでも、
見せ物的な価値が高く、娯楽となり得たのだと思われます。
大衆向け情報メディアとしての映画のプレゼンスが、
段違いに高かったのだと思います。
アクションに迫力がないのは、当時の技術的に仕方がないと思いますが、
それを補うためなのか意外とバイオレンスです。
結構、これは新鮮な驚きで、笑ってしまいました。
通りすがりのハゲ親父が、祝福の名の下に、
いきなり口にブチューと吸い付いてきたりするのも
相当ダメージの残るバイオレンスだなと感じました。
一期一会の恋に、深みを求めてはいけないとは思いますが、
初々しさとか、ドキドキ感みたいなものが、演出されることもなく、
そもそも、あまり求められてもいないと思われるところが、
ちょっと興味深いところですかね。