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MY FATHER マイ・ファーザー 死の天使のeのレビュー・感想・評価

3.8
アウシュビッツで人体実験を繰り返し戦後は南米へ逃亡した医師、ヨーゼフ・メンゲレ。メンゲレはナチ・ハンターの手を逃れ遂に裁かれることなく、逃亡先のブラジルで海水浴中に心臓麻痺で死去したことになっている。実は生前、彼の息子がブラジルまで父親を訪ねていき、居場所を知りながらそれを公にすることはなかったという実話を基にした映画。

「ヒトラーの子供たち」には大別して3つのパターンがある。ヒムラーの娘、グドルーンのように父親の犯罪を認めずナチズムを信奉し続ける者、デーニッツやゲーリングの娘のように、親はナチスの犯罪とは無関係であり立派な人物だったと考える者、そしてポーランド総督府ハンス・フランクの息子のように、親を憎み苦悩する者。

メンゲレの息子、ヘルマンは死んだと聞かされていた父親が生きており、それもナチスの大犯罪者であった事に苦悩しながらも、その事実を確かめるためにブラジルへあいにいく。年老いた父親は質素な家に住み、近所の子供たちからは慕われ、とても「死の天使」には見えない。

しかしこのチャールトン・ヘストン演じる老メンゲレは、一種異様な迫力を醸し出している。父親の犯罪を追求する息子に対し「人を殺したことはない」と言うメンゲレ。しかし終盤、ジャングルで生物の生存競争について説くメンゲレは、自身の犯した犯罪に対し一切の悔恨の情などないように見える。結局息子は父親を理解することは出来ない。

舞台がブラジルなので所謂ナチス物映画とは全然雰囲気が異なる変わり種だが、見て損はない出来と言える。

しかしこのDVDのパッケージはもう少しなんとかならなかったのか、、。
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