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フィールド・オブ・ドリームスのpenのレビュー・感想・評価

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いま一度立ち止まり、純真無垢なものに目を向けようとする意識が根底にある。
その道筋を辿る展開は半ばホラー映画にまで足を踏み入れているが、嫌な感じはしない。むしろ野球というものに対してムキになりかけるほど熱く、真っ直ぐに向き合う姿は微笑ましい。

夕陽を背景に、無茶を通して建設した球場で、日毎トウモロコシ畑からかつてのプレイヤーが現れ、野球をプレイする。全力で野球に打ち込む姿、その様子を存分に楽しむ主人公たち。選手と観客で成り立つ優雅な風景には余計なことを考えず、好きなものに本気でのめり込んでいく楽しさがある。一歩一歩グラウンドを踏みしめて進む様子さえ本作にとっては大切な時間だ。

そしてそうした時間は自ずと内に抱えた屈折・迷いに光明が射し込む瞬間をもたらす。"彼の傷を癒やせ" の"彼"が持つ多重の意味。幽霊はある意味で自己の投影で、野球を通して自らをケアする物語でもあるのかもしれない。

綺麗事だが、そういうのも偶には良いのではと感じさせてくれる映画だ。
最初に現れるシューレス・ジョー、レイ・リオッタの存在が、この映画に臨む私たちの気持ちを形成してくれる、無垢な存在感。
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