せみ多論

フィールド・オブ・ドリームスのせみ多論のレビュー・感想・評価

4.5
貧乏農場の主レイ・キンセラが、トウモロコシ畑で聞いた不思議な声に触発されて、野球場を作る話。と、これだけ聞いたら奇天烈な印象しかないけれども、中身は本当に素晴らしい映画。
タイトルの通り、このスタジアムは夢のフィールド。
レイを動かす原動力は理屈でもお金でもなく、ただ他人から見たら馬鹿げているとしか思えないような、直感と情熱。
ただこの熱が、妻や子、そのほかの登場人物にどんどん広がっていく、これがとんでもなく心地よい。フィールドに映るものが見えるということは、夢を見ること、追いかけること、そしてその情熱を捨てないこと。テーマ自体はシンプルながら、抜群の演出とストーリー展開で魅せる。そして最後に明らかになる主人公レイの夢も、また良い。予想できても、それでも良い・

ストーリーはファンタジーな面も強いけれども、グイグイひきこまれていく出来栄えで、非現実的なのに見ていて白けることもない。レイの情熱が、彼自身はおろか、為しえなかった者たちの夢までをも救っていくことが、本当に清々しい。フィールドオブドリーム”ス”ですもんね。

最も好きなシーンは、フィールドを前に語るテレンス・マンのシーンでした。今まで見てきた映画でも、こんなに素敵な語りは中々思い浮かばないですね。他にも素敵なシーンは沢山ありましたが、あえて内容は触れないでおきたいと思います。

自信を持ってお勧めできる名作だと思います。
せみ多論

せみ多論