「ハロウィンの夜、解き放たれる殺人鬼。奇妙な息遣いで、奴は背後に忍び寄る。“死”という悪戯を仕掛ける奴は、果たして人間か、怪物なのか…。」
・あらすじ
ハロウィンの夜のハドンフィールド、まだ6歳だった男の子マイケルは自らの姉を包丁で刺殺し、精神病院へ。それから15年後、ハロウィン前夜にマイケルが脱走し、担当医であるルーミスは拳銃片手に追跡する。マイケルの狙いは、彼の実の妹ローリーを殺害する事だった…。
・レビュー
今年10月には今作から40年後を描く、正統派続編第二弾が公開される程の人気シリーズの第一作目。
監督は「遊星からの物体X」などを夜に送り出してきた巨匠ジョン・カーペンター。また今作で特徴的な劇伴も自ら作り上げています。
今作はヒッチコックの「サイコ」から影響を受けた、この手のスプラッターホラー作品の先駆けと言われています。その為「13日の金曜日」や「エルム街の悪夢」など後のホラー作品に影響を与え、スプラッターホラーの元祖とも言える作品です。
しかし今作、その後の作品に比べゴア・流血描写は意外にも少なく、殺害シーンも直接的には映ることは少ないため、現代の刺激の強い作品群を見慣れている我々には少々物足りないという感想を抱く方は、レビューを見る限り多いかと思われます。しかし本作には、この手の殺人鬼ホラーの原点として重要なものが詰まっていると、個人的には感じましたね。
私が考えるこの作品の素晴らしさは3つ。“殺人鬼が現れるまでのタメ”と“殺人鬼を不気味に見せる明暗の構造”、そして“効果的な劇伴の使い方”。
この作品では、ポスターにも載っているマイケル・マイヤーズの姿は後半までしっかりと映りません。しかし主人公である女子高生のローリーを執拗に付け回す様を、はっきりとは映さず明暗とカットの構図を使って周りに溶け込ませたり、マイケルが運転していると思われる車の車内が上手く視認出来ないよう影が作られるように撮影していたりします。それによって、ゆっくりジワジワと忍び寄ってくるマイケルを本能的に認識させる様に撮られているんです。サメ映画で言えば、「ジョーズ」の一作目に近いです。いつ出てくるか分からない、姿を見せずに人が犠牲になっていく恐怖感、そして登場した時のインパクトも効いています。
そしていつ出てくるか分からない恐怖感に加え上手いのが劇伴の使い方。有名な「Halloween Theme」の、不協和音なピアノの旋律。聞いていると何とも言えぬ不安感を覚える、そんな曲ではないでしょうか。これも「ジョーズ」と同じく、恐怖の対象が現れるまでの緊張感や焦りを増すのに一役買っており、あらゆる方面で優れたホラー映画だったと言えると、私は考えています。
ここまで長文になりましたが、とにかく言いたいのは「映画好きの方にはぜひ見て欲しい」という事です。刺激はあまり無いかもですが、金字塔的作品として、ホラー映画の歴史を作った作品の一つとして見る価値大だと思います。
オススメです!