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終わりなし
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『終わりなし』に投稿された感想・評価

みやび

みやびの感想・評価

4.8
80年代初頭の戒厳令下のポーランドでの政治裁判を題材に、有能な弁護士の夫をなくした妻と、自らの死後も妻や子供、自らが担当するはずだった裁判を見守る夫の物語。

夫の死という現実を受け入れられない妻の悲しみを主軸に当時ポーランド社会全体に漂っていた国民の敗北感情を隠喩した大傑作。

キェシロフスキ監督作品を観ていると「愛の喪失」などから再生されていく物語が多いように感じる。
しかし本作は「喪失」を乗り切らなかった場合のエンディングが用意されていた。

キェシロフスキは様々な「愛」のサインをたくさんの作品に残してくれている。
のんchan

のんchanの感想・評価

3.7
1980年代のポーランド🇵🇱は自由化への動きが始まるものの1981年に政府による戒厳令が敷かれ厳しい取締りが続いていた。
この作品は政治色が入り込んでいるものの、監督は真の人間らしさを表現しているのだと感じた。

冒頭に「私は4日前に死んだ」と語り始めるのは、30代の若き有能な弁護士アンテク本人。
時々画面に登場するが、それは亡霊としての姿であり、その姿が見えるのは妻のウラ(グラジーナ・シャポロフスカ)だけ。

アンテクが抱えていた訴訟案件(工場のストライキを主導したとして逮捕された男の妻の依頼で釈放のために動いていた)をその後、定年寸前のベテラン弁護士が引き継いで担当することになる。

拘留中の男の妻の家で反体制活動のメンバーが打ち合わせてるところなのに、アンテクの友人がウラに「昔から君が好きだった」と言い寄る場面などがあったり、様々な人間模様が交錯する。

ウラは夫を忘れようとして催眠術師の元へ通ったり、まだ亡くなって36日目と言いながら、バーで声を掛けられた夫に似た面影を持つ男と刹那的に身体を重ねる。しかし夫を忘れることなど出来ず後悔する。

男と女、人間同士、所詮解り合うことは出来ないのかも...という、その一夜の男が話すポーランド語が通じないのを1つの無理解としているのか?

組合の男の裁判は有罪だが執行猶予付きの判決となり釈放される。どんなにか喜ばしいはずなのに、男には喜びが無く、妻もあれだけ動いたのに笑顔はなく抱き合いもしない...ベテラン弁護士は最後の仕事をやり遂げた。

ラストにウラの取った行動が...
アンテクとの可愛いイケメンの1人息子の事が気に掛かって仕方なかった😔
なんだかスッキリしない微妙な終わり方だった😶‍🌫️モヤモヤモヤ
アンテクは4日前に死んで幽霊となっている。未亡人のウラは喪失感を味わいながらも、自分は本当に夫を愛していただろうか?と疑問が湧き苦悩する。

本作のいちばんのターニングポイントはウラが催眠療法を受けている時だ。
それまで幽霊となった彼の存在を「感じていた」にも拘らず「見える」ことはなかった。しかしその日、死後初めて夫と対峙し、微笑みを交わし指遊びで交信した。心震えるシーン。あんな感動的な再会をしたならば私だって彼の元に飛び込む。
しかし皮肉なことにその日を境に彼と会えなくなる。だからこそ彼女はラストであの選択をした。再会で彼女は確信したのだ、自分はこの男を強く愛しているのだと。きっと彼が生きていた時以上に。

催眠療法のシーンと並んで感動的なのは、法廷で被告人のダレクとウラがアンテクの存在に気付くところ。
実はこれまで彼女の苦悩と裁判との関連性がはっきりとは分からなかった。しかし再視聴してみると、全編通して監督の政治的メッセージがたくさん散りばめられ彼女の生き方を誘引していることに改めて気づいた。

ポーランドでは戦後のソ連体制下で多くの知識人が自由を求めて国外へ逃れた。映画監督ではロマン・ポランスキー、スコリモフスキ。戒厳令下ではアニエスカ・ホランドも祖国を離れている。しかしキェシロフスキはポーランドの酷い実情を嘆きながらも一貫して国内に留まり活動を続けた人なのだ。

本作はこの理不尽な時代への痛烈な批判が込められている。
体制と闘おうとしながら非業の死を遂げたアンテク、彼との愛を模索する妻のウラ、地下活動のリーダーであるダレクと妻、体制との表面的な迎合を促す弁護士ラブラドル、国の体制に見切りをつけ出国を決心する夫の友人。あの法廷のシークエンスにはそれぞれの思いが集結している。これは彼らの生きざまが万華鏡のように繋がり合い溶け合って生まれた稀有な作品なのだと思う。

重くて暗く娯楽性は皆無だから気安く勧められる作品ではないけれど私は本作に出会えて幸せ。本作のタイトルは当初は『ハッピーエンド』だった。

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