Benito

夜の女たちのBenitoのレビュー・感想・評価

夜の女たち(1948年製作の映画)
3.8
【 戦後間もない夜の闇を描いた溝口健二 】

ベートーヴェン「運命」風のテーマが導入部で流れて始まる。

戦後間もない生活苦から夜の闇に堕ちていった女性たちが、混沌とした時代を必死に生き抜いていく米軍占領下の大阪を舞台とした群像劇。

実際に戦後の荒れ果てた大阪を捉えた溝口健二のリアリズム演出。主人公を演じた田中絹代が悲劇の戦争未亡人が食べるために娼婦になるも、更生施設から脱走して…という逞しくも汚れ役は衝撃的。田中絹代のイメージとは随分違った、、

1948年当時、映画はGHQの検閲を受けていた時期。売春・性病の問題を国民に広く認識させるため製作を推奨したのが皮肉にもGHQだったという。

劇伴:
ボストン交響楽団で日本人として初めて指揮した大澤壽人。劇中のベートーヴェンの交響曲第5番(運命)をアレンジ?したテーマは印象的。


2022年ミュージカル版:
併せてWOWOW録画の鑑賞
映画版のシナリオにかなり忠実+αな2時間20分、まさかのミュージカル。
演出家・長塚圭史
主人公:江口のりこ(映画は田中絹代)
ダンサー:前田敦子(映画は高杉早苗)
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