キネマ寸評

地獄の謝肉祭のキネマ寸評のレビュー・感想・評価

地獄の謝肉祭(1980年製作の映画)
3.8
なんでベトナムで食人なのよ。
しかも人によって発症に時間差があるし。即時発症しちゃう人や数年後の人も。普通一定の潜伏期間があるだろうに。
発症しても基本割とみんな冷静だけど人肉を前にすると目がキラキラする。
しかも噛まれた奴ら同士何故か目配せして徒党を組む。それがウケる。

デカ長が言ったよ。
「訳が分からん」

こっちのセリフだよ、何言ってんだよ。


ちょっとネタバレ--------------

ベトナムで囚われてたトミーとチャーリー。穴蔵で食人していた。助けたノーマンにガブッ。

数年後、ノーマンは毎夜悪夢。食人の衝動。さかってる隣の女の子のスカート捲り上げて股間に一直線。この子、10代じゃないのかな…脚本も配役もヤバくないか…。

その頃チャーリーは精神病院を退院、早速映画館でオッパイ吸われてたねーちゃんの首筋にガブッ。

捕まり精神病院に戻るがトミーと暴れて看護師ヘレンにガブッ。縛り上げられて拘束。

その病院の医師フィルは上下緑のダサいジャージでマラソンして、しょっちゅうノーマンのカミさんジェーンに僕は花嫁募集中さ、とか言って言い寄ってた。なんだこの設定。

その病院でオレおかしいのかな、と思い血液検査してるノーマン。その隣の部屋で縛り上げられてるチャーリーとトミー。その隣の部屋で発症して同僚の舌噛みちぎるヘレン。
何故か一緒に逃亡するこの四人。
どんな仲間意識だよ。

まるでベトナム戦争のように下水道での攻防に発展する。

その頃フィルは感染者に引っ掻かれ、ジェーンの元に向かう…。

舞台は整った!

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ムキムキのジョン・サクソン。
ベトナム題材の映画と思い出演したが、撮影の途中で人喰いゾンビ映画とだんだんわかり落ち込んだそうだ。中盤以降の彼の心ここに在らずの演技に注目。

そんな看板アクターを詐欺まがいに嵌めて撮られた映画だからか、実際食人設定がスカスカ。
しかしベトナム設定はちゃんとコンセプトとしてあったようで、PTSDや順応できず世間から疎まれる帰還兵の比喩がある。下水道の火炎放射器の攻防もベトコン戦を再現しているよう。
ラストはイタロトラッシュありがちな子供落ちがまたいい。

冷蔵庫のステーキ肉のドリップにきっちり音ハメしてスコア当ててるのには逆に緊張感台無しで感激。スコアも全編アーバンでファンキー風味だが、エンディングが立ち直れないレベルの死ぬほど超悲しい曲でギャップにウケた。

カミさん役がわけわからん美人。どっかで観たなと思ったらデアボリカでよっぽどこの人が主役だったらと思ったエリザベス・ターナー。
全編出てくる主要キャラなので観ていて飽きない。

食人無しでしっかり考えて作ったらランボーより早く帰還兵PTSDを描いた作品になったのではないか?可能性が見えるぞ。
そんなこと思いながら観るとまた面白い、珍品裏ランボーカニバリズムバイオレンス。
当時の日本版トラウマ予告編の方が本編より優れている笑。

ちなみにオッパイ吸われてるネーチャンの時の劇中戦争映画はレンツィの
「戦争と友情」
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