イチロヲ

喜劇 一発大必勝のイチロヲのレビュー・感想・評価

喜劇 一発大必勝(1969年製作の映画)
3.5
保健所の助成金を横領した長屋の住民たちが、出稼ぎ先から帰ってきた無頼漢(ハナ肇)に翻弄されてしまう。ハナ肇、谷啓、倍賞千恵子をフィーチャーしている、人情喜劇シリーズ。

今回、ハナ肇が演じているのは、ボルネオから帰国したばかりのアナーキーな無頼漢。社会の下層部となる長屋を舞台にして、不器用な人生しか送れない人間たちのドタバタ群像劇が繰り広げられる。

登場人物の下卑た行動を徹底的に演出して、いっさいの妥協点を作らない。気持ち良い場面は徹底的に気持ち良く、気持ち悪い場面は徹底的に気持ち悪くすることにより、本物の喜劇を創出させる。

谷啓がザ・ネガティブ人間を演じており、溌剌とした倍賞千恵子との恋愛事情を盛り上げてくれる。男性側がモジモジ君なところに、山田洋次&森崎東の「らしさ」があり、映画版「男はつらいよ」の源流を垣間見ることができる。
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