「もし、手が使えたら、紐を解いて 川に飛び込み、逃げるのに。」
この前振りからの、そのif が起こった時の展開の持っていき方に、これで良かったのかと疑問を持った。
これでは、オチがバレバレではないだろうか。
妻と娘の姿がスローで映っただけで、
「手が使えたら……」のセリフはいらなかったように感じた。
森の中を走る時の、方向性のぐちゃぐちゃ加減は とても良かった。
決まったところに向かっているのではなく、ただ 敵から逃げているのを演出しながらも、
最後の正面走りで、一点先を見据えているところから、妻と娘のところに向かっているのが演出されていた。
真逆の演出を、1つのシーンで同時に行えるのだと知り、新たな可能性を感じた。
しかし、この観終わった後の胸の高鳴りは 方向性だけではない。
ドラムロール。
鳴り出したり、消えたりするタイミングがちゃんと映像を彩っていた。
テンションの変動は、音楽と比例しているのかもしれない。
ストーリーは 微妙であったが、
映画を学ぶ身としては、とても勉強になる映画であった。