「どちらかというと主役二人よりも、就職した“彼”にシンパシー抱いてしまうので、あの最期があまりに…」
「個人的に北野映画史上、一番嫌なキャラクターである、ジムの“あの”先輩中年ボクサーがマジで不快」
…この二点が、欠点ではなく、むしろ良く出来てるポイント…だからこそ一層苦手で、作品もちょっと好きになりきれなかったのですが…
久しぶりに観返したら、この二人に対しても、少し違う見え方・印象が持てたような気が。
“周りに流されるまま”で、悲劇的な結末を迎えたあの男の子は、けれど作中の登場人物で唯一(一方的っぽかったけど、)「愛する人」がいたんだよなぁ…おそらく彼女のために無理したあの帰結を、哀れむ権利なんて果たしてあるのかなぁ…
だとか、
このハヤシは本当に嫌な奴…だけど、「家族や友人はいなさそうだけど、職場の先輩には、あの腰の低さ」「こんなスタンスなのに、ジムに居座り続けられてる」…といった描写から、単に“世の中の誘惑の象徴”ではなく、“過去のある人間”、そして彼こそ「終わってしまった」男なのかなぁ…
…とか、なんとか。
しかし改めて思ったのは、過去作通じても、「自分から動き出した奴」には、甘やかしたりこそしないものの、愛情は確かにある監督だなぁ、と。
邦画史上に残るであろうラストシーンは、年齢重ねるとますます応えてしまう…