菫

白痴の菫のレビュー・感想・評価

白痴(1999年製作の映画)
4.0
「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。」
――坂口安吾『堕落論』

戦争末期の日本。そのさまは、1945年当時を彷彿とさせつつも近未来的である。映画制作を志す伊沢は、テレビ局で仕方無しに戦意高揚番組のアシスタントを務めているものの、上司や帝国アイドル銀河からパワハラを受ける毎日だ。そんなある日、彼の部屋の押し入れに、隣人の白痴の女が忍び込む。

まるで禁断の箱を開けてしまったかのような背徳感と快楽。特に最後の空襲のシーンはカタルシスさえ感じさせる。
若かりし日の浅野忠信の色香。ちなみに私の推しは宇津木役の小野みゆき。
菫