Kumonohate

疵千両のKumonohateのレビュー・感想・評価

疵千両(1960年製作の映画)
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江戸初期、会津藩の浪人・高倉長右衛門(長谷川一夫)は、自分を仇と狙う東郷又八郎を返り討ちにする。又八郎の妻すが(香川京子)は、かつて高倉家の下働きであり、そんな彼女に長右衛門は密かに想いを寄せていた。重症の夫に代わって長右衛門を討たねばならないすがは、ある決断をする。

ストーリーのベースは仇討ちだが、実は、長谷川一夫による報われない片想いの話。だからこそ、すがは凛々しく美しく高潔な女性で無くてはならない。その点、香川京子は申し分なく、昼日中に彼女とのラブラブを妄想してうっとりしてしまう長谷川一夫のオトメ心もよくわかる。

一方で、彼らを取り巻く脇役は、いい人達なんだが皆ヘタレ。相対的に主役2人を盛り上げている。そして、3度の果たし合いに全勝し、自分だけ生き延びて、あまつさえ惚れた女の忘れ形見までゲットしてしまう長谷川一夫が、決して悪者に見えることは無いのである。
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