このレビューはネタバレを含みます
ジョセフ・ロージー監督のネオリアリズム風、低予算の犯罪ドラマ。
唯一無二の名優、ウクライナ出身ポール・ムニ。ハリウッドを避け舞台俳優として活躍していた50年代に、イタリアで出演した珍しい映画。言語はほぼ英語。
イタリアの港町。
戦後、仕事を失い、拳銃を売った金で密航して国へ帰ろうとしている男だが、拳銃に付いた値段は10分の一にも満たなく、牛乳屋の店頭でチーズを盗み食いする。その直前、子供が牛肉を盗んでいて、2人は一緒に逃げるハメに。少年は警察に追われている自分を、強盗が助けてくれたと勘違いする。
少年は男を女性の家に匿い、2人で船に乗って逃げようとする。帰宅した彼女を男が縛り上げ、少年は男に不信感を抱き始める。警官隊に包囲され屋根伝いに逃げようとした時、少年が落下寸前になり、男は逃走をやめ少年を助ける。少年が警官に助ける様に懇願に行くが、男は狙撃手に撃たれ、屋根の上から落下するのだった。
サーカス、運河や広場の逃走など、手は込んでいるが、定番の域をでない社会派の犯罪劇で、メロドラマの様な音楽で盛り上げている。
ポール・ムニの存在感と肉体美はさすがですが、終劇直前、友達との会話で元気を取り戻す少年然り、浅くて甘い。