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拳銃を売る男のaminのレビュー・感想・評価

拳銃を売る男(1953年製作の映画)
4.0
やむに止まれず殺人者となってしまった男と、偶然行動を共にすることになった子供の関係性、その心の通じ合いと別れにはイーストウッドの『パーフェクト・ワールド』を思い出した。
そういえばあの映画を小4のときに劇場で観て、その時初めて映画を観て泣いたのを思い出した。あの頃に与えられた感動と衝撃が、その先30年、映画を観続ける今の僕の人生を形作った気がする。
言うまでもなく、幼少期の経験は、その後の人生にとんでもない影響を与えるのである。今作も『子供たちは見ている』や『自転車泥棒』に並ぶ、間違いない、ネオリアリズモ映画であった。あの子はこれからどうなるんだろうなぁ。子供が牛乳瓶を持ち歩くのを見て思ったけど、『大人は判ってくれない』でドワネルが牛乳を飲むシーンは、この映画のオマージュなのかなぁ。トリュフォーに聞けたらなぁ。
警察を含む、支配側の大人を徹底的に悪として描く切れ味が、子供の視線を通じて泣けてくる。食べものを粗末にしないところにも、ジンと来る。ストーリー展開も丁寧だし、シーンの繋ぎも動きがあって楽しい。フィルム・ノアールなんだろうけど、圧倒的に政治や体制批判の一作でした。
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