けーはち

赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道のけーはちのレビュー・感想・評価

3.6
高畑勲監督「赤毛のアン」序盤6話の総集編。これでどんな作品だったか思い出すに至るには充分だし、ウェルメイドな児童文学のアニメ化かなと思う。孤児院から畑仕事の労働力として男子を貰う予定が、手違いで女子が来てしまう所から話が始まる。見るもの全てに変にリアクションがデカくて落ち着きなく多弁、夢想家な少女アンは今でいうADHDだろう。保護者となる中年兄妹も共に独身の頑固者で相当の変人。結局は馬が合い共に暮らす運びになるが、そこまでの機微が描かれる。のべつ幕なしに空想的な話を喋りまくるアンに劇中保護者も視聴者もしばらくウンザリさせられるが、それが彼女の過酷な境遇からの逃避で心を守る手段と感じれば同情心と愛着を覚えるし、奇想を言語化する彼女に面白味が湧いて来る。ちなみに、この娘のことを宮崎駿は嫌った(儚さや母性などのヒロインに求める幻想を詰める余裕が無いからであろう)。アニメーション的には平凡だし話も序盤で特に何か動くという訳でもないが良作と言っても差し支えはない。