来夢

クロッシングの来夢のレビュー・感想・評価

クロッシング(2009年製作の映画)
4.2
クロッシングするのを期待してしまうもクロッシングしない。かなり好みの映画のはずなのに邦題の余計なミスリードによりスッキリせず。邦題のままに観ようとすると、ストーリーに意識が持っていかれるけれど、実際にはそれぞれの人間性を意識して観ないと分かりにくい映画になってしまうので、これは本当に悪い邦題代表。内面的なところでそれぞれの正義の価値観がクロッシングしていると言いたいならまぁ、わからなくもないけれどわからないな。
改めてクロッシングしないを念頭に観賞。めちゃくちゃいい映画じゃんねこれ。
サルもタンゴもエディも既に警察という正義に諦めを持ってしまっているけれど、それぞれの中に正義感は生きている。正義を成すためには悪が必要で、それぞれの正義や悪は、人によって正義にもなれば悪にもなる。正義と悪なんていうものは、本来ただ対の関係というだけのもので、そこに絶対的な正しさなんて無いのかもしれないね。
3人のこの至極個人的な問題。この規模が個人レベルから国レベルになると、それは戦争と呼ばれる。正義のための戦争なんて言っているのは当事者だけだけれど、それを悪だと断罪するのが難しいのは、それぞれが持っている自分にとっての正義というのは間違いなくその人にとっては正義だからだ。少なくともその瞬間はね。それは誰もが個々に戦争の火種を抱えているっていうことに他ならない。っていう話。かどうかは分からないけれど、自分にとっての正義は誰にとっての正義なんでろう。ってことは考えさせられるよね。より善か、より悪か。ね。
来夢

来夢