KnightsofOdessa

高校のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

高校(1968年製作の映画)
4.5
No.492[これは最早ギャグ映画] 90点

ワイズマンのどストレートすぎるタイトルはいかにも私好みではあるが、ドキュメンタリー嫌いとしては長らく嫌煙していた。しかも版権が安いのか知らんが呆れるほど特集が組まれていた時期があって非線形天邪鬼まで発動してしまった。が、この手の映画は時期を過ぎると日本での入手が難しくなるので(なぜか「チチカット・フォーリーズ」だけは持っているが)今回意を決して行ってみることにした。

まずマヌケなことに大学生が学生料金で鑑賞するのに「『高校』一枚、大学生で」という変なワードをキメてしまった。普段は低燃費で活動しているせいで思考回路が一瞬だけ混乱したが、チケットを貰えばこちらのものである。

内容は以下の通り。
フランス人教師「アメリカ人はキッチンでご飯食べるでしょ?フランス人はどこで食べる?そう、ダイニング」
ファッションクラスのおばさん教師「あなたとあなたは足が太いからダメよ、私も太いけど」
英語の教師「審判を殺せ!」
世界史の教師「実存主義、サルトル、実存主義、サルトル、実存主義、サルトル…」
カウンセラー「最悪の場合に備えて、馬鹿だけど安い大学も受けたら?」
産婦人科医「すると僕はお金を貰って膣に指を入れてる訳だ」
最早ギャグの世界である。これだけ問題まみれなのに最後家庭科の教師がベトナムで死んだ卒業生の手紙を読み、"この高校は素晴らしいわ"と呟く。さっきその生徒が"何をしても平均以下だった"とバラした後で。最高かよ。

何よりも素晴らしいのが、監督が存在を消していることである。ドキュメンタリー作家が"なんとか流派"とかいって鎬を削っても何も得られんのだよ。そして、なんのためかよく分からない体操をする女の子たちのお尻をカメラは追っていく。先程"膝より上のスカートは転んだとき痛いでしょ"とか"正装はロングガウンだ"とか色々言われた後に。最高かよ(二回目)。

ワイズマンはワイズな男だったようだ。最高かよ(三回目)。

追記
別に長濱ねるは推しじゃないよ。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa