このレビューはネタバレを含みます
若かりし頃の日本のロックレジェンド達による、ディストピア人塊暴力ハードコアパンクロックナンセンスSF映画。
圧倒的熱量、独自の視点によるカメラワーク、徹底的に映像化された世界観、様々な工夫が垣間見られる。
ロックと言う音楽が持つ暴力性を詰め込んだような作品で、現代のロックと呼ばれる音楽に足りない要素がこの映画にはある。
(どちらが良いとは言っていない)
有名なマウスのユートピアの実験では、楽園→弱肉強食→精神異常→カオスの始まり→無差別的な大虐殺→社会の崩壊→絶滅となる(簡潔に説明すると、このようになると聞いている)。
この映画では、はじめのライブハウスでの「楽園」に始まり、あらゆる場面で描かれている「弱肉強食」、多動性や「精神異常」と言った「カオス」も盛り込まれ、四方八方から攻撃し合う終盤の人塊暴力が「大虐殺」、警察機能の制圧が「社会の崩壊」と、見事に実験をなぞらえた形となっている。
最後の走り抜けたその先にあるであろう「絶滅」こそ描かれていないが、現在の日本のロックシーンの表舞台に攻撃的なロックバンドが少ない現状は、映画と現実の世界のつながりにおいて非常に興味深い。
高円寺二万電圧の名前の由来は、この映画からだったのか。
大江さんのギターカッコいい。