三四郎

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離の三四郎のレビュー・感想・評価

3.9
なかなかどうして素敵な映画じゃないか。
2作目、3作目を先に観てしまったが、やっぱり1作目が一番良いね笑

正直、1作目で終わった方が観客の夢が膨らんで良かった気がする。ウィーンで別れた後、二人がどうなったか…ハッピーエンドでもバッドエンドでも観客が自由に想像でき、結末をその観客それぞれの自由な想像に委ねた方がロマンチックじゃないかしら。
「あの後、二人はあの場所に行ったと思う?」と話し合うのもおもしろいだろう。

【アメリカの単純さ】と【フランス(ヨーロッパ)の知性】、【男性】と【女性】を巧く描き出しており奥行きがある。

3作すべてにおいて言えるのは、ヒロインの発言や性格が大変興味深く、物語をリードしているということだ。

「マスコミも嫌いよ。人の心をコントロールしようとするから。すっごく巧妙で新しいタイプのファシズムだと思うなぁ」
私が生まれた年の映画だが、この頃から冷静に正しいことを言っているじゃないかと思った。しかし同時に、いや『市民ケーン』の頃から、いやいやナチス時代のメディア戦略だって…そうかファシズムだと思い至り、マスコミは新しいタイプのファシズムではなく、ファシズムがマスコミを利用したのであって、そもそも「書籍」や「新聞」というものがこの世に誕生した時から、いや「聖書」が完成したその時から人の心のコントロールは始まっているじゃないかと思ってしまった。

「私、妄想とも言える考えを持ってるんだけど、『フェミニズム』って男が作ったんじゃないか?って」このヒロインの科白もなかなか興味深く、おもしろいことを言うなぁと思いながら聞いていたら、次の科白で驚いた!「自分たちが遊びやすくなるように。だって『女性よ精神を肉体を解放しろ!僕と寝ろ!男が好きなだけセックスできればみんな幸せ〜!って。言ってる意味わかる?」可愛い顔してトンデモナイことをおっしゃる!!笑

3作通してヒロインの科白に「そう来たか!」「そう考えるのか!」と驚かされてばかりいた笑 可愛いし発言も面白いけれどずっと一緒にいたら疲れちゃうだろうね。彼女自身、フェミニスト故に己に疲れてしまっている。本人もわかっていたけど。

ヒロインに対して否定的なことばかりを書いてしまったが、全体的に面白かった。
イーサン・ホークが、付き合ってる彼女と街を歩いていて、4人組の男が彼女にチョッカイを出すようなことを言った際の話は可笑しくて思わず吹き出してしまった。4対1で数的不利でも女性はお構いなく「私を守って闘え」という態度を示すという笑
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