エマニエル坊や

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のエマニエル坊やのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

初鑑賞。リバイバル上映で見ました。

明日の朝までというタイムリミットの中で、2人が濃密な時間を過ごす様が良かった。

全てが現実味のある出来事で、お互いの価値観や将来像、これまでの環境、苦悩などが綺麗に散りばめられていて良かった。

特に2人の会話で、2人がどんな性格や考え方をしているのかを、実際に会話している時間軸で当人同士が分かっていくのが良かった。

最初のシーンの喧嘩している夫婦が、電車を降りる時の説得する口実として伏線になっていたのは良い構成だった。

途中の占い師と詩人はどちらも女側と男側の人となりを表すシーンで、女側は占い師に言われたことを否定しなかったが、男側は占い師や詩人に言われたことを否定していたのが面白かった。ただ自分も詩は、単語を当てはめて書いているだろとは思った。

場面場面で効果的に音楽が入ってくるのが、ウィーンという土地柄もありつつ良かった。

また、恋愛経験豊富で強い芯の通った女性として描かれていたが、ラストで「その言葉を待っていた」などの女性らしさが出た部分と、
少し恋愛に傷ついた"わがまま坊主"な男性として描かれていたが、肝心な場面では思い切って決断できる男らしい部分が垣間見えたのが良かった。

後、レコードショップの試聴室でキスできる距離にいながら、お互いに目を逸らし合う場面は、もどかしくもあり初々しさもあった。

最後に、ラストシーンまで時計が出てこなかったのが、2人の中で永遠にも感じられる時間を忘れているという表現に思えた。