原作未読なのでアレですけど。
素晴らしいです。
所謂シスターフッドですけれども、えも言えぬ妙な後味を残します。
ちょっと怖い、おどろおどろしさを感じました。
古き良き古都こと、「京都」の1963年当時が切り取られますから、過去へタイムスリップした気分。
画面はキレがあってとっても雅です。成島東一郎さんの手腕でしょうか。
お話も綺麗にまとまっていてうっとりする仕上がりなんです。
だけど、妙にどこか虫の居所が悪いと言いますか、ムズムズキリキリするようです。
度々地の文として語られる京の歴史、これがどうにも影を感じるというか、「作られた人工物」としてのメッセージ性を少し感じます。
それからアブストラクト=抽象についての言及がありましたね。
岩下志麻演じる双子の姉妹は正に光と影を、それぞれに生きてきました。
本来重なるはずのない二人の邂逅が、叙情的かつ何だかグロテスク。
贖罪についての問題は、オミットでしょうか。
んなことがあって良いのでしょうか?
この物語は、主体の姉千重子から見たらロマンチックです。
ただし客体たる妹苗子から見える景色が全くもってアブストラクトな気がします。
苗子の存在がこの映画全体の妙な印象、腑に落ちなさを担っているように思えます。
彼女の佇まいに、でっちあげの美しさと鋭い納涼の風が合います。
まとにかく中村登凄いですね。
脚本の権藤利英も是非覚えたいですね。
にしても、この姉妹が同じ画角に入るカットが凄いです。
CGで合成なんて、とてもできる時代じゃありませんからその手段はとても原始的で。
カメラの半分を隠して片方撮れば、今度はフィルムを巻き直してもう片方を撮るんですって。
何が一番びっくりしたって、これですよ。
こんな映像見た古都ないです。