トシオ88

古都のトシオ88のレビュー・感想・評価

古都(1963年製作の映画)
3.9
川端康成原作「古都」を岩下志麻の主演一人二役で描いた作品。京都を舞台に偶然から育った環境の違う双子の姉妹が邂逅し、そして別れが訪れる。物悲しくて美しい作品。1964年のアカデミー賞外国語作品賞にもノミネートされた名作。

灰色の瓦で覆い尽くされた京都の街に武満徹の鋭利なスコアが流れるだけで、この映画の魅力に引き込まれていく。呉服屋の一人娘として岩下志麻が和服姿で登場するが、兎に角美しい。
やがて祇園祭の晩に双子の妹と出会うが、この場面がやはり本作品の一番の名場面と言える。
一人二役の岩下志麻が何の違和感もなく四条通にて出会う姿。1964年当時とは思えないほど二人が画面に溶け込む見事な撮影。表情やメイク、ちょっとした仕草で姉妹の性格を分けて見せる岩下志麻の演技力も凄い。

インバウンドの外国人もビルもクルマもスマホも何もない京都…叶わない夢ですが、こんな京都に一度行ってみたい😢。今のホテルだらけの京都中心地は、やはり少し哀しい景色。
先斗町の鰻いづもや、今もお店はご健在です😃

驚いたのは予告編に流れるスコアがソル「魔笛の主題による変奏曲」!あの実相寺昭雄監督の「京都買います」で岸田森が京都を彷徨う時の伴奏と同じだった事。実相寺監督が中村登監督に敬意を示したのか否か…これも最早、今となってはもうわからない😢こうした日本映画、もっと観たいと切に祈願😃🎬🍁
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