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レッド・サンの一人旅のレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
5.0
テレンス・ヤング監督作。

日本の三船プロダクションの発案により映画化が実現した仏伊西米合作による異色西部劇で、「007」シリーズの初期作を手掛けたテレンス・ヤングがメガホンを取り、初代ボンドガールのウルスラ・アンドレスが紅一点のヒロインを演じています。オリジナル音楽はフランスの名作曲家:モーリス・ジャール。

1870年のアメリカ。日米修好のため渡米した日本の使節団が汽車で移動中に強盗団に襲われ、大統領に贈呈するための黄金の宝刀を奪われてしまう。使節団の一員である黒田重兵衛は、仲間に裏切られたアメリカ人のリンクと共に、宝刀を奪い去った冷酷非道なフランス人のゴーシュのゆくえを追う―というプロットの異色西部劇です。

“世界のミフネ”こと三船敏郎とアメリカの激渋俳優:チャールズ・ブロンソン、フランスの超二枚目:アラン・ドロンという日米仏の三大スターが豪華競演を果たした国際色豊かな西部劇で、三船・ブロンソン連合vsアラン・ドロンの宿命の対決が、男勝りな娼婦のヒロイン(ウルスラ・アンドレス)を巻き込みつつ活写されます。クライマックスである好戦的な原住民との熾烈な攻防では日本刀、銃弾、弓矢、槍が激しく交錯する圧巻のスペクタクルを実現しています。

19世紀アメリカの大地に降り立った三船敏郎が日本刀で敵をバッタバッタと斬り捨てていく光景が、ガンアクションを主体とするオーソドックスな西部劇とは一線を画す作品となっていて、西部劇でありながら随所に盛り込まれた時代劇映画仕込みの三船の本格的な殺陣が異彩を放ち続けています。また、三船と行動を共にするチャールズ・ブロンソンとの“異文化&異人種交流”とその先の相互理解&友情の芽生えに胸が熱くなりますし、性格は真逆だがお互い人間味のある二人とは対照的に冷血漢を貫き通したアラン・ドロンの凍てつく存在感も見逃せません。
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