くまちゃん

レッド・サンのくまちゃんのレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
4.2
三船敏郎×チャールズ・ブロンソン×アラン・ドロン、三大スター共演の異色ウエスタン。

「さらば友よ」でバディを組んだブロンソンとドロン。そこに日本が誇る世界のミフネが加わる事でチグハグながら味わい深いケミストリーが狼煙を上げる。

欧米人は太陽を「黄色」に感じ、
日本人は太陽を「赤色」に感じる。
タイトル「レッド・サン」は日本人を表している。

異文化交流のバディロードムービーとしての側面が強い今作、文化的背景の異なる者同士が利害により行動を共にし、国境を越えた友情が芽生える。

西部開拓の地を侍が闊歩し馬を手繰り、刀を振る。列車から降り立つ肩衣と平袴。背景に全く馴染んでいないシュールな画。
だがそれが癖になる。沼に落ちる。
いぶし銀の激渋なブロンソンと比較し、馴染んでいない三船敏郎が可愛く見えるのだ。
野宿で姿勢を正しておにぎりを食し、雪山では裸で水を浴びる。しかも着物と刀を奪われる。
売春宿では我が家同然の寛ぎぶり。隙きがないようで隙だらけな三船敏郎。
それでいて圧倒的な武力。銃に臆さない胆力。殺傷能力のある鋭利な眼光。
世界のミフネはやはりすごかった…

軽薄で冷淡で姑息なブロンソン。
侍をなんとか貶めようとするが歯が立たない。刀無しならイケるという安易な考えは柔術でねじ伏せられる。
だが、結局は優しく強い。
ガンマンとしての腕は超一流であり、何だかんだ侍の世話を焼く面倒見の良いブロンソンはまさに男が惚れる男。ミスターマンダム!
ラストも結局一番良いところを持っていった。

一人だけ三船敏郎と別の意味で浮いてるドロン。
ファッショナブルでスタイリッシュで周囲に乱反射が起きてると錯覚するようなスター性。他を無条件に服従させる狂気ともとれるカリスマ性を放つアラン・ドロン。
嬉々として悪役を演じるが、出番が少ない。画面に映っていないのに存在を感じれるほどオーラがある。
監督が初期007のテレンス・ヤングなだけあって若干オモシロヴィランの系譜を受け継いでいるように見える。

七人の侍と荒野の七人、そして「サムライ」が並んでいるのは感動以外の言葉が見当たらない。

豪華な共演を「アベンジャーズ」に喩えることがある。しかしそんな言葉が安く軽率に聞こえてしまうほどのセレブリティパック。

当初監督候補としてテレンス・ヤングの他、エリア・カザン、サム・ペキンパーもいたことからそちらのバージョンも見たいという叶わぬ願いが沸き起こる。
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