BOB

レッド・サンのBOBのレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
3.8
三船敏郎×チャールズ・ブロンソン×アラン・ドロン。日米仏のスターが共演した異色の西部劇。監督は『007』シリーズの生みの親テレンス・ヤング。

1980年。日本使節団一行を乗せた大陸横断鉄道が襲撃され、日本の帝からアメリカ大統領への贈り物であった黄金の日本刀が奪われる。

🇯🇵🇺🇸🇫🇷🇨🇭in🇪🇸 directed by🇬🇧

これは俺得な胸アツ映画だった!なにしろ、椿三十郎、ハーモニカ、怪傑ゾロの共演ですぞ。侍映画と西部劇のクロスオーバーをキャスティングから実現してしまった夢の映画だし、『ゴジラvsコング』や『ブラック・レイン』同様、日本代表応援映画だ。

テイストとしては、『隠し砦の三悪人』のようなお気軽冒険活劇。三船敏郎とチャールズ・ブロンソンのコンビ芸が炸裂しているし、時代の過渡期に直面する侍とガンマンが文化交流する点も面白い。チャールズ・ブロンソンによる伝説のCM「う〜ん、マンダム!」が生まれるきっかけとなった作品でもあるらしい。

紋付き袴姿の侍が荒野の西部に存在するという違和感。そんじょそこらの日本人俳優がやればおバカパロディ映画にしかならないような設定だが、三船敏郎が演じると説得力が全然違う。

テレンス・ヤング監督の腕前も大きく影響していると思う。『007』シリーズじゃないけれど、荒唐無稽な設定を、立派な娯楽作品に仕上げるのはお手の物。ヒロインが、『ドクター・ノオ』ハニーライダー役のウルスラ・アンドレスだということも見逃せない。

三船敏郎の殺陣がとても格好良い。奇襲に出たチャールズ・ブロンソンを返り討ちにするシーンと騎馬戦シーンに興奮した。侍にとっての刀について熱弁するシーンは感動的。癪に障るモスキートを一刀両断するシーンと、褌一丁で雪の上に佇むシーンは笑った。三船敏郎は、撮影現場に日本の食材を持ち込み、共演者やスタッフたちに手料理を振る舞ったらしい。

映画史的に関わりの深い侍映画と西部劇。宿場町での戦いは『七人の侍』『用心棒』であり、『荒野の七人』『荒野の用心棒』だし、長い草木が生い茂ったとうもろこし畑での戦いは『切腹』『上意討ち』だし、クライマックスのメキシカン・スタンドオフは『続・荒野の用心棒』だった。

首を締め付ける革を発砲で外すのはさすがに無理があるやろ!どう考えても小刀の方が現実的やろ!笑

ラストカットのやってやりました感!『七人の侍』じゃないんだから!笑

56
BOB

BOB