正善院市法秀

あさ潮ゆう潮の正善院市法秀のレビュー・感想・評価

あさ潮ゆう潮(1956年製作の映画)
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みんな大好き♥文子&いづみ祭【6】

以前書いたかもしれませんが、妹の影響で「生徒諸君!」という漫画にどハマりした時期がありました。
キョンキョン主演で映画化もされました。
本作を観て久し振りに思い出しました。
「生徒諸君!」でキョンキョンは一人二役の姉妹を演じ、若尾さんも本作品でも一人二役を演じています。
「初春狸御殿」よりも前の作品なので、初めてのチャレンジということになりますね。

この時期、すで若尾さんは主演を何作もこなし、名匠らとも仕事をしてはいますが、
お世辞にも私たちを圧倒してきたあの全盛期のお芝居にまでは到達していません。
スクリーンに焼き付けられる彼女に無限の可能性を感じ、監督誰もが彼女で映画を撮りたいと思ったことでしょう。
そんな時、この作品はまさに動く宣材写真の如く、間違いなく彼女の素晴らしさをキャスティングする者たちに対して、
猛アピールすることになった作品の1つだと確信できます。
一番の理由はクローズアップの多用。
しかもただのクローズアップではなく、次のショットに切りかわるまでの時間が少し長い。
通常プラス3秒以上のタメがあるんです。
洋画(特にフランス映画)ではありますが、この時期の邦画では珍しい。
クローズアップに耐えうるだけの美貌の持ち主であることを証明するかのように…
中川芳久さんは「十代の性典」でも撮影を担当しているのですが、
撮り方は全く違います。
佐伯監督の指示でこういった演出をほどこしたようですね。

最初にネタバレしてしまったので今回はちょろっと…
若尾さんは一卵性双生児の姉妹を演じています。
二人は同じ男性を好きになってしまうのですが、最後の最後まで二人が顔を合わすことはありません。
なので、ありがちな1人の男性をめぐって姉妹が争うことはありません。
その代わりに好きになられた男性(川口浩さん)が苦悩することになります。
姉妹は離れて暮らしていました(正確に書くなら離れ離れにさせられて)。
お互いに姉が…妹が…存在することさえ知らずに生きてきたのです。
そのことが引き金となり不幸な事件が起こります。

そして姉妹のこととは別に、もう一つ悲劇的なできごとが…
貧乏であり純粋で一途であったことがひきおこしてしまった悲劇。
この悲劇のフラグ立てがまた強烈なクローズアップでした。

お気に入りのシーンはタイトルバック。
タイトルがバーンとと出た後、制服姿の若尾さんが家から出てくる。
家の方を向き直して「いってまいりま~す」。
ここから約1分半、高校へ通う船に乗るために、
船着き場まで小走りで走っていく様子を前から後ろからとカメラで追いかける。
このシーンがめちゃくちゃ良い。
欲を言わせて貰うなら、タイトルバックの文字が邪魔すぎ☆彡

~追記~
実はみんな大好き♥という理由の前に、芦川さんと若尾さんを選んだ1つの理由があります。
さて問題です。
今年ある洋画のキャラクタ―が、この二人のイメージぴったりだったことを思い出させてくれました。
そのキャラクターの名前は?
パッと見二人は全く違うイメージの女優さんですが、
二人が出演した作品を観ていると、もしこの作品を日本でリメイクしたら、
どちらも間違いなくこのキャラクターをパーフェクトに演じ切るだろうと思います。
しかもこのキャラを最初に演じた(これ大ヒント)女優さんは芦川さんと同い年、若尾さんとも2才しか変わらない。
ヒントを出し過ぎてしまったかな(笑)
答えが出ましたらお手数ですが、他のフォロワーさんにバレないように、
私の過去のレビューのどこかのコメント欄にこっそり書いてみて下さい(笑)

最近、書いていなかった反動からなのか少々レビューが長くなりすぎる傾向がある。
気をつけねば^_^;
正善院市法秀

正善院市法秀